■高い方が安心できるって、ある意味病気かもしれません・・・
もし、あなたが2社の住宅メーカーで悩んでいたとします。
片方は60坪の土地に40坪の家で3000万円。
片方は60坪の土地に35坪の家で4000万円。
あなたはローンで5000万円を借りることが出来、その毎月の返済は問題なく払えたとします。
両者がまったく同じブランド力の会社であった場合、あなたはどちらの会社を選びますか?
同じブランド力がある会社ですから、大きくて安い家はなんだか心配ですよね?
一生に一回の買い物だから、心配よりも安心を買いたいですよね?
■高い方が人気があるのが住宅業界です。
さて、冒頭の質問どうですか?
最後に高い方が良いように見える様に、文章を付け加えてみましたが、どのように感じたでしょうか?
答えは様々でしょうが、現実での多くの人の答えは、意外にも高い方を選ぶようです。
と言っても、現実での話は先ほどの金額だけではなく、高いメーカーの方が、対応も良いし、連絡も早いし、工場見学もあるし・・・・
そんな要素を含めての結果だとは思いますが、高いと言われている会社さんの方が、選ばれているケースが多いようです。
ちなみに、住宅の着工件数ランキングなどと、検索をしてみると、上位10位はほぼ毎年安定しています。
実名であげてしまうと、積水ハウスさん、積水ハイムさん、ダイワハウスさん、ヘーベルハウスさん、ミサワホームさん、一条工務店さん、住友林業さん、タマホームさんなどです。
ちょっと詳しい方なら、ご理解いただけると思いますが、ローコストの雄であるタマホームさん以外、全部お高いメーカーさんです^^;
このことからも、お高いメーカーさんの方が、人気があるともとらえることだが出来ます。
■マイナスの感情は、プラスの感情に勝る
住宅は高い買い物なので、自分達の希望や夢、家族の明るい未来のためと言った『プラスの感情』よりも、後悔をしたくない、失敗したくないと言った 『マイナスの感情』が強く働きます。
また、住宅の購入の経験の少なさによる『不安の感情』もそれを後押しします。
しかも、今のこの情報社会ではちょっと調べたら、色々な情報を手に入れることが出来ます。
私のような、経験者の意見やもっとすごい専門家の意見。
また、まったくの経験が無かった素人の意見や、ちょっとかじった事象玄人の意見など。
どれを信じたらいいのか分からない、もうどうしたらいいんだー!!!
なんて『不満の感情』あるかもしれません。
このように書き出していくと、夢や希望や明るい未来の為に始めた家づくりがいつの間にか、不安や不満の感情に押されていってしまいます。
こんな背景も『高い=安心』といった方程式を作る、手助けをしています。
■『高い=安心』は、もう過去の話。『安い=安心』が今の時代
さて、色んな感情があると思いますが、皆さんは『高い=安心』ってそう思っていますか?
もしそう思っている人がいたら、完全に時代に取り残された考えになっていますので、今回の記事をしっかり読んでみてください。
今の世の中だと、『高い=安心』ではなく、『安い=安心』であると言えるんです。
そんなこと言うけれど、安かろう悪かろうって言葉って知ってる?
あと、まったく同じものを造っているんだったら、高い方が良い物を使っているに決まっているじゃん?
私は、安物買いをして、後悔をしたくもないし、安い物を使って変な家を建てられたらって不安を買いたくもない。
だから、『高い=安心』が正解なんだ!
そんな風に思われるかもしれません。
それも正解かもしれません。
ただ、この先の記事を読んでもらったら、考え方が変わるかもしれません。
ちなみに私は『安い=安心』という考えをしています。
■現状は建物の品質に差が無くなってきた
まず、このことをしっかりと理解してもらわなくてはいけません。
昔は高い建物は良い物を使い、安い建物は悪い物を使っていました。
しかし、これだけ物の品質が良くなり、あの100均の商品ですら、しっかりとした物になっている現状、家に使う物も品質の底上げが凄いことになっています。
昔は情報があまりなかったので、安くするために悪い物を使えたのかもしれませんが、今では情報が早いので、悪い物を使っていたらすぐにばれます。
それは、住宅の建材メーカー(ドアとか売っている会社の総称)も同じで、悪い物をほとんど扱わなくなり、安くてもそれなりの品質で仕上げてきます。
また、大手メーカーも住宅コストを下げるために、自社ブランドなどは廃止や縮小して、そういった建材メーカーから仕入れています。
となると、安い家でも高い家でも、品質に差が無くなってきた、もしくはそもそも同じ物を使っている・・・
それが今の現状であることを認識してください。
■建物の性能も大きくは変わらなくなってきた
住宅の品質と同じくらい大事なのが、性能ですね。
これも昔は高い家は良くて、安い家は悪かったです。
しかし、年々厳しくなる国の基準に合わせ、各メーカーが切磋琢磨していった結果、高い家も安い家もそんなに大差のない性能になってきました。
細かく見ていけば、まだ高い家の方が高性能であることが多いですが、その性能と必要としている性能のバランスの悪さも目立つようになりました。
分かりづらい例えかもしれませんが、自動車で例えてみると、高い車1000万円近くする車と100万円で買える車があったとします。
当然1000万円の車の方が性能が良く、なんと最高速が300Km/hもでます。
一方100万円の車は最高速は150Km/hしかでません。ただ、昔の車のように100Km/hを出すと、怖くなるような感覚はなく、スムーズに150Km/hまで加速します。
さて、あなたが日本で運転をするために、車を購入するとしたらどちらを選びますか?
私なら100万円の車を買います^^;
だって300km/h出すのは凄いと思いますが、それは自分には要らないし、この国では必要ない速さだからです。
それと同じことが住宅でも起きています。
性能が良いに越したことはないですが、そんなには要らないでしょう?と言いたくなる性能をうたっている会社が多く、そういったことにお金を使うから高い家になるんです。
一般的な住宅の性能で、一般的な地域ならもう十分過ぎる程の性能なんです。
ただ、無駄な高性能は見栄えや聞こえがいいのと、日本人は性能オタクが多いと言いますので、ある意味では需要と供給がうまく言っているのかもしれませんが・・・
■安い=安心なのは、皆に言えること
さて、ここまでのお話は理解できましたでしょうか?
住宅業界は凄い勢いで進歩しており、たった10年前の話も今では、時代遅れの話になります。
ですので、この考えが理解できないことの方が当たり前なのかもしれません。
さて、そういった感じで性能と、品質に大きな差が無いとしたら、『高い方=安心』と言う神話はもうありえないことがご理解いただけましたか?
さらに追い打ちをかけると、今では大きな会社も小さな会社も倒産リスクはそんなに変わりません。
むしろ大きな会社の方が、変革や軌道修正が難しい分、これからもっと早くなっていく、情報化社会への対応が難しく、問題が山積みなのかもしれません。
こういった背景もありますが、自分が一番気になっているのは、住宅=負債となっている現実なんです。
このせいで『安い方=安心』だと言うことが出来ます。
■負債である以上、少ない方が安心である
経済が安定し、誰でもが家を持てる時代になった影響で、住宅の価値がとても下がりました。
昔は、本当にお金に困ったら家を売ればなんとかなる。
そんな感覚もありましたが、今では誰でも家を持っていますし、そんなに難しくなく家を建てられるので、そんな古い家を買う必要がありません。
なので買い取り額も、二束三文程度であることもしばしば・・・・
昔に比べ、住宅などの不動産の価値が一気に下がったのです。
つまり今では住宅は買った瞬間に価値が下がる、今いる負債となってしまうんです。
更に、昔と違いかなりの長期間での借り入れでローンを組むので、更に負債として重くのしかかってきます。
また、昔のように黙っていても給料が上がるような社会ではありませんので、リスクの先送りも出来ない状態です。
何かの問題があった際に、1円でも多くのお金を用意できる体制づくりが大事になってきます。
こんな状況なので、負債の額は1円でも減った方がいいですよね?
その方が、何十年と付き合っていく負債だと考えれば、安心感が生まれます。
つまり、『高い方=不安』、『安い方=安心』となります。
今までの考え方と切り替えをしなくては、行けなくなっているのはこういった背景があるからです。
■まとめ
ここまで話を読んでくれて、少しは納得が出来ましたか?
10年前のように、住宅の品質と性能が価格の差と直結していた時代では、高い方が安心出来たかもしれません。
しかし、住宅全体の品質が底上げされた今、建物で安心を得るよりも、支払いが少ない事での安心感の方が、私は優先してもらいたいと思います。
住宅は何千万円もするので、100万円をたったの100万円と思えてくるかもしれません。
しかし、実際の100万円を本当に大金であることを、忘れないようにしたいですね^^
安さから得られる安心感。
こちらに、自分達の夢や希望、そして明るい未来像を示してくれる会社と出会えることを影ながらお祈りさせて頂きます。