■ローコストだから家も低性能なんだろか???
住宅は安くても何千万円の買い物です。
特に土地を買うかただと、更に値段が上がります。
そうなると、今後の未来を考えても、あまり高い買い物はしたくないもの。
となると、安価で家が買えるとうたっている『ローコストメーカー』さんに目がいくようになります。
確かにネットなどで調べると、かなりの安価での建築をしている模様。
ただ、安かろう悪かろうの気持ちでなんだか心配になってしまうのも、事実ですよね^^;
と言うことで、今回はローコストメーカーさんでの建築についてお話していきます。
■まず大前提に今の日本の新築で弱い家はありません
ローコストメーカーを語る前に、まずこの大前提を覚えてもらいます。
『今の日本の新築住宅で弱い家はありません』
大事なことなので、強調しておきました。
今の住宅建築は余程の田舎地域でない限り、全ての地区で『確認申請』と言う書類を、国や県、市役所などに提出が義務になっております。
その書類の中身は、図面などどういった家を作るのか、その際の耐震強度はどうなのか、採光(光を取り入れる度合い)は大丈夫か・・・
などなど、住宅建築の法に則った住宅にとって大事な部分が記載してあります。
それを設計士の免許を持った人が作成し、提出先でもチェックが入り、その上で問題が無ければようやく家を建てる許可が出てきます。
また、工事中も提出先(県とか市の職員など)が住宅の検査にきますので、完成し引き渡しになった際には、大きな問題は無いようになっています。
それはどれだけ安い家でも、逆に凄い高い家でも同じこと。
ちょっと考えて見たら当たり前で、国などがは家を建てて良いよってお墨付きを与えるのに、安いから強度がなくてOKなんてこと言える訳がないのです。
国などが認めた以上、責任は国にも出ますので、どれだけ安い家でも、ビルダーに法に則った家づくりを強要してきます。
その法が大きな地震がある度に、強化され、今ではどの新築住宅も地震で倒壊することはほとんど無くなりました。
この大前提があるので、ローコスト住宅と言えども、過剰な不安はしなくても大丈夫なのです。
■そもそもなんで安く売れるのか?
話は戻って、ローコストメーカーの話に戻ります。
さて、皆さんはローコストメーカーが安く住宅を売れる理由ってご存知ですか?
・・・・
・・・・
・・・・
例えば、品質が悪いもの、粗悪なもの、適当な手抜き工事などで、安くしているんだろ?って思った人。
答えは不正解^^;
本当の答えは、『仕入れが圧倒的に安い』からです。
例えば、皆さんが物を売る立場だったとします。
AさんとBさんがあなたの商品を買うって話になったとして、Aさんは10個買いたい、Bさんは1000個買いたいと言っています。
両者共に、値引きの依頼が来たら、あなたはどちらの方なら値引きをしたいですか?
また、この中々物が売れない時代。
普段だったら、年間に1000個も売れたらいい商品を、たった1社で『年間で絶対に800個買うから』って約束し契約書まで提出されたとします。
だから通常よりも安くしてと言われたら、あなたは安くしますか?
相手が個人だと、中にはNOっていう人もいそうですが、多くの会社の場合、値引きをして販売していきます。
これをローコストメーカーさんは、徹底的に行っています。
キッチンやお風呂、洗面台、床材に壁紙、窓や屋根等々、住宅は細かい物を入れたら1000以上のアイテムを使うので、これを徹底的に値引けたら、凄い額の値引きになります。
そういった商品を『標準品』として、提供をしています。
そういうことを行って、少しでも安い単価で家を造ろうとするので、安い家が建てられるんです。
もし機会があれば、ローコストメーカーさんの現場見学会やショールームに足を運んでみて下さい。
粗悪な物や変な物を使わず、しっかりとした工事で家が出来ているのを確認出来るはずです。
■安いと言われていたのに、見積りは安くなかった
さてなぜ安くなるのかを理解して頂いたところで、実際に見積りをもらった方の感想などをまとめると、
『安いと言われていたのに、見積りは安くなかった』
そんな声を多く聞きます。
その理由の多くが、『オプション工事』を入れている可能性が高いです。
オプション工事とは、先ほど言った『標準品』以外の商品のこと。
このオプション工事が結構な額になってしまい、結果的に見積もりが高くなっていると言ったケースがほとんどになります。
標準品は頑張って値引き交渉をした結果の商品で、かなり安く売れます。
しかし、オプション品はそこまで値引き交渉が出来ていないので、安く売れないのです。
例えばですが、A社のキッチンが定価で100万円の物、B社も同じく100万円の物。
A社のキッチンはその会社の標準であった場合、大手のビルダーだと20~30万円程度の価格で仕入れが出来ます。
これが頑張った結果なので、安すぎる!なんて言わないで下さいね^^;
さて、標準外のB社のキッチンはかなり頑張って値引いてもらっても、40~50万円程度が仕入れ値になることが多いです。
A社のキッチンが標準で20万円で仕入れが出来る会社でB社のキッチンを頼むと、仕入れが50万円する。
差額の30万円にプラス会社の利益が乗りますので、40、50万円と言ったオプション額になるんです・・・
これをお風呂やその他にも適応すると、結局はローコストメーカー外で建てた時よりも、高くなるなんてことも平気でおこってきます。
今回のように安く出来る仕組みを知っていたら、当たり前のことだと思えるでしょうが、この仕組みを知らない人は、詐欺にあったとも思ってもおかしくないかもしれません。
そういった観点からネットなどで書き込まれている『ローコストは詐欺だ』的な発言は、疑って掛かる方がむしろ正解かもしれません。
■ローコストメーカーで安く家を建てる方法
この方法はとても簡単です。
全てを標準品で収めたらいいのです^^
そうすれば、広告などにうたっている『坪単価29万円』の家づくりをすることが出来ます。
これに、諸経費的なもの、土地によって掛かる費用(浄化槽など)を入れたら、トータル予算になります。
ローコストメーカーで家をなるべく安価で建てようとするなら、標準外の物をなるべく使わない家づくりを考えていきましょう。
もし、ローコストメーカーでの、標準品に満足出来ない場合、欲しい物が標準であるメーカーに変えることをおススメします。
そっちの方が施工もなれていますし、金額も安くなる可能性があります。
■工事は意外にしっかり
さて、ローコストメーカーでの工事ですが、皆さんが思っているよりもかなりしっかりと行っています。
下手すれば、地場の有力工務店などよりもしっかりとした管理が行われています。
これにも裏があって、これも安価に工事を行うための方法なのです。
さて、工事の流れや搬入など、1日単位で決めらている会社が多くあります。
そうすることで、工事を無駄なくスムーズに行え、現場もしっかりとするんです。
また、作業の効率化の為に、きっちりと作業マニュアルがある会社なども多く、経験や勘に頼っている工務店などよりも、よっぽど現場は綺麗です。
こうすることで、工事の日程を減らすことが出来、結果的に工事費用が安くなることに繋がります。
一昔前には、これにさらに『職人さんの手抜き』が入って、より工事が早くなっていた時期がありました^^;
今ではそんなことをすると、各方面から大バッシングを食らいますので、手抜き工事は本当に少なくなりました。
(残念なことに無くなってはいません、ただこれはローコストだからではなく、業界全体の問題です・・・)
このように工事でも安かろう悪かろうではなくなっています。
■デメリットをまとめてピックアップ
これまで良い事を中心に書いてきましたが、悪い面も当然あります。
それらをピックアップしたいと思います。
1、標準品以外は高くなる
2、決まったこと意外は高くなる、もしくは出来ない。デザインなどもそう
3、性能は、法はクリアーしているが、高レベルであることは少ない
4、工事費用を安くするために、職人さんの費用を削ってる会社が多い
5、アフターメンテナンスが短期間のみ
6、会社が倒産する可能性が現時点では高い
以上があげられます。
1と2は先ほど説明したので、割愛をさせて頂きますが、3、4と6はしっかりと説明したいと思います。
■性能は、法はクリアーしているが、高レベルであることは少ない
住宅の性能で大事な部分は、耐震性、断熱性、気密性の3つになります。
この中で、耐震性は色々と言われているので、疎かにしている会社は少ないです。
しかし、断熱性と、気密性の2つに関しては、ローコストメーカーでは力を入れている会社は多くありません。
理由は新築住宅に住めば、それが良いのか悪いのか分からないからです^^;
住んでみて寒いと思っても、『こんなもんですよ』って言われたら、返す言葉もないですよね?
そして、性能としては法で定めた数値はクリアーしていますので、文句は言えないからです。
今の法で定められた基準は、流石に低い数値ではありませんが、今の一般的な建物の基準からすると、低い数値になります。
ですので、今は良いかもしれませんが、10年後20年後と考えると、徐々に性能が足りなくなる、そんな家になることが予想されます。
と言っても人が住めない程ではないし、昔の家やアパートに比べたら段違いに性能が良いので、あくまでも一般的な建物と比べた結果ということです。
■工事費用を安くするために、職人さんの費用を削ってる会社が多い
先ほどあげたように、職人さんの工期短縮などで、職人さんたちが1現場で得られる収入が年々減っています。
工期が短くなった分、他の現場にも行けるので、トータルでは変わっていない職人さんも多いです。
しかし、住宅の現場は平成の初期を最後に、年々数が減っており、現在はピーク時の約半分にまで少なくなっています。
そういった背景から、職人さん達も早い仕事を心がけると共に、余分な仕事もしない人が増えてきました。
TV番組などでは、職人さん達のアイデアや気持ちで、当初には無かったことが実現していきますが、現実はそんなことしてもお金が出ないからやらないって人ばかりです。
確かに大事なお客さんの家ですが、自分も飯を食べていかなければいけない・・・
そう考えると、しょうがないことですよね^^;
と言っても、手抜き工事などはしない誇りを持った職人さんたちばかりですので、不安を抱える必要なないかと思います。
■会社が倒産する可能性が現時点では高い
現時点での話ですが、安売りをしている会社の倒産率が高いように思えます。
これは自分の感じているところと、他から聞いたレベルでの話なので、正確な情報ではありません。
ただ、全てのローコストメーカーが倒産するのではなく、しっかりと利益を確保していないメーカーが倒産していくと言った感じです。
ローコストの家は、高コストの家に比べ、安価になります。
例えば同じ間取りでも1000万円で出来る家があれば、高コストのメーカーだと3000万円で売っていることもおかしくありません。
同じような家を1000万円で売るのと、3000万円で売ること。
どちらが利益を出しやすいか分かりますよね?
これでも、先ほど挙げたように、仕入れを頑張ってしっかりと利益を確保しておけば問題ないのですが、中には利益も値引きして売ってしまう会社も多いんです・・・
お客さんにとっては嬉しいことかもしれませんが、こんなことをしていたら、会社はあっという間に倒産です^^;
そしたら、一番迷惑をこうむるのが、家を建てたお客さん。
今後アフターもないし、問題があっても直す会社はない、訴えたくても会社が無ければ何も言えない。
ローコスト住宅が流行り始めて約10数年。
そういった経営をしている会社から倒産していったので、今ではそこまで気にする必要もないとは思いますが、頭の片隅に入れておくのも大事だと思います。
■まとめ
長々と書いていきましたが、ローコストメーカーさんについて、少しはイメージが変わったでしょうか?
ここではローコストメーカーとして大きく括ったので、実際の会社に単位になれば、また変わった話になってきます。
ですが、今のローコストメーカーさんは、昔にあった安かろう悪かろうと言った感じはかなり薄れています。
イメージで敬遠している方がいましたら、この機に一度考え直してみるのはいかがでしょうか?